単純デザイナーの感化される日々 vol.4
長く、愛されてほしい

エッセイ/単純デザイナーの感化される日々/All

ネットやSNSがここまで主流になる前、 私にとって情報のすべては雑誌でした。
本屋はもちろん、コンビニに立ち寄ると必ず雑誌コーナーをチェック。 気になる特集を見つけると、片っ端から買っていたものです。

人気の手土産やレストラン、美術館情報、雑貨、ファッション、化粧品。 雑誌を読むことが、私の好奇心を満たす手段でした。
「保存版」なんて書かれていると、無条件で購入していた時期もありました。笑

並ぶ雑誌のテーマを見るだけでも、私にとっては大事な情報源。 けれど、SNSが主役になり、雑誌コーナーもどんどん縮小。
寂しい気持ちもありますが、 実際、長年同じ雑誌を買っていると 「またこの特集か」と、 同じサイクルに飽きてしまうこともあり、 私自身も自然と雑誌から離れていきました。

今では、クライアントが特集される時ぐらいしか、雑誌を手に取る機会がないほど。
そんな中、たまたまクライアントである「日本橋フレンチレストラン ラペ」が 載っている雑誌を見つけました。

第3号目とまだ出来たばかりの雑誌であり、私が手に取った号は「人形町・日本橋特集」。

会社も日本橋なので、知っているお店が沢山掲載されていました。
読んだ瞬間、すぐにファンになりました。 文章や写真から、この街への愛情が伝わってきたのです。
この雑誌は、ただ情報を届けるだけでなく、 地元やお店への思いをしっかりと載せている。

バックナンバーをすぐにネットで取り寄せました。
4号目の発売が待ち遠しくて、編集部に問い合わせたいくらい。笑

届いた4号目も、老舗や職人のインタビューが面白く、 読みごたえのある特集ばかり。
特に、巻頭の「日本橋・老舗特集」でのコピーが心に残りました。

「私達、客の脳の中で、どんどん美化されていく記憶を上回る料理。
百年続く老舗には、そんな努力を続けている時間がある」


まさに、伝統と挑戦の積み重ね。 今回も満足度の高い一冊でした。

日々、新しい飲食店が生まれるなかで、 SNSで“バズる”ことを狙う情報があふれています。

けれど、自分たちが関わったお店は、そんな一過性の話題だけではなく、 地元の人やファンに、長く愛され続けてほしい。

そんな気持ちを、改めて思い出させてくれる雑誌との出会いでした。

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松本シェフによる、
日本橋フレンチレストラン La paixグループ


La paix :https://marlco.jp/?p=82
平ちゃん:https://marlco.jp/?p=522
Peace :https://marlco.jp/?p=908
L’appétit:https://marlco.jp/?p=1324



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「単純デザイナーの感化される日々」 奥谷知未
昔から感化されやすく、 この仕事をはじめてから様々な職種の人と出会い、 目標や悩みを聞くことが増え、慌ただしく影響を受けています。 自分でも思う「単純」な性格。 時に面倒なこの性格ですが、単純は楽しい。 仕事や日常で受けた刺激を紹介します。

◆ vol.1 / 四十にして惑わず?  https://marlco.jp/?p=997
◆ vol.2 / 個の力を後押し    https://marlco.jp/?p=1000
◆ vol.3 / 「おいしい」を追求する人  https://marlco.jp/?p=1123



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